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映画『ジャージーボーイズ』圧縮された年月の記憶

2014-October-12 21:29:28

記憶の中で時間は圧縮される。

10歳くらいで1990年という年数を“新しい最近の年”として認識して以来、2014年の現在も90年代というのはどこか最近のことのように思っている。90年代が去年だったとは言わないが、それでも5年くらい前が90年代だったような気分が未だに残っているのだ。

80年生まれの自分の場合は90年代が「つい最近の年数」だが、例えば2000年に生まれた人間は2050年になっても2010年を最近だと錯覚するだろうし、1950年代に生まれた人間は、現在である2014年から10を引いたら1960年になるような気持ちが残っているに違いない。

そう考えると、1900年も1950年も2000年も、記憶の中ではひとしく同じ「去年より、ひとつ前」に並んでいると言える。

映画『ジャージーボーイズ』はそうした、「去年の隣にある時代」として1960年代が描かれているように思う。

劇中では登場人物の解説を挿入することで、これが「過去の話」であること、回想であることを明示しているが、 けして遠い昔に終わった話ではなく、我々にとってもつい最近の「去年より、ひとつ前」という距離感でドラマが語られているのだ。 舞台が西暦何年でも、それは観てる我々にとっては「去年より、ひとつ前」であり、作中で2年前に場面が変わろうと、10年の年月が経とうと、どんな時間経過があろうと、思い出の中では常に特定の年代が新鮮に感じられるように、この作品の舞台はひとしく同じ「去年より、ひとつ前」なのだ。

去年の春も十年前の春も百年後の春も、春はひとしく春なのだ。

この作品の時間軸は、キーポイントなる出来事をつまんで、圧縮されている。

さて、ホルバインの絵画に「大使たち」という作品があり、中央に描かれている謎の図像は ある適正な距離から見ることがトリガーとなって、横軸が圧縮されてドクロが浮かびあがるように作図されている。 参考:アナモルフォーシス

時間軸を圧縮して描かれた映画『ジャージーボーイズ』にも圧縮を展開するトリガーが仕込まれている。作中にも一点デコーダがあり、二時間かけて積み重なったドラマの圧縮を同時展開させる、という容赦ない演出があるのだが、 むしろ真のトリガーは鑑賞後にある。

この映画を観たものは、フランキーヴァリの歌声を聴くたびに、彼のたどった年月とそのドラマが“全て同時に”脳裏に展開されるのだ。

ほとんどマルウェアといっても過言ではあるまい。

WEB用の縦書きテキスト設定

2014-August-30 02:12:24

2014年8月現在のCSSでは、縦書きレイアウトを充分には実現できない。仕様が未だ充分に固まっていないせいかブラウザの対応もまちまちであり、ブラウザをまたいで期待した見た目を表示させるには様々なハックを用いねばならない。したがってある程度のブラウザ互換を維持したうえでテキストを縦書きで組むには、それ専用のJavascriptライブラリを用いるのが一番確実であろう。

だが問題もあり、例えば代表的な縦書きライブラリである竹取JSでは、縦書き適用範囲内において「文字を<span>で切り分けて文字を90度回転、禁則処理の有無を判定し配置を調整する」という重い処理を文字数分だけ繰り返すため、文字数が膨らむにつれ処理負担がハネ上がる。3万字でフリーズするという報告もあるので、文字数の上限はかなり低く見積もっておいた方が間違いはない。

実際に組んでみたところ、千字程度なら許容範囲ではあるが、それでも例えば古いAndroidブラウザではフリーズしかけるため、よほどの必然性がない限りWEBテキストの縦書きレイアウトはオプション的な設定とした方が無難だと思われる。

WEB用にテキストを設定する

2014-August-29 18:01:52

WEB媒体におけるテキストコンテンツの読みやすさを考える際、紙媒体上でのレイアウト作法は大いに参考になる。細かい理屈を追うとキリがないが、経験則として現場で運用されているであろう設定を拾うだけでも、それなりの見栄えは確保できるだろう。

本ブログでは単行本書籍に準拠して、1行の幅を等幅40文字とし、行間を二分アキ超と定める。二分は「文字幅の“二分の一”」であるが、横書き媒体であるため一行の高さを文字高の1.6倍として対応する。厳密にいえば実際の表示はデバイスにより異なるが、コンテンツ側でそうした差異の吸収は行わない。またHTMLタグのCSSリセットは極力用いず、ブラウザのデフォルトスタイルを活用する。

フォント指定については、現行の日本語font-familyでおそらく定番といえるであろう下記設定を使用する。

CSSでのフォント指定について考える(2014年) – DTP Transit

なお日本語WEBフォントは容量が膨大であり、WindowsのWebkit系以外のブラウザではフォントのアンチエイリアスが指定できないため画数の多い文字を表示した際に細部が潰れるという問題があり、現時点では使用は考えていない。

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